2009.05.20 Wed
ティペちゃんのお尻の魔物

骨まで凍ってしまいそうな真冬のある日、道端に置かれていたのは、封の開いたドッグフード、犬用クッションベッド、その横にぽつんと、ミイラのように痩せ細った骨と皮だけの小さな犬。
それが、イタリアングレーハウンドのティペックスが捨てられていたときの状況。

保護したばかりの頃は、刺激とは言えないほどの些細な刺激に反応し、自分の足に攻撃を仕掛け、パニックになり、人にも唸り、手が付けられない状態でした。お尻には、床ずれのようなジュクジュクの傷がありました.。けど、「オスワリ」や「マテ」など、いろんなコマンドは知っていました。いったい今まで、どこでどんな生活をしていたのでしょうか。

歯石がたくさん付いていた歯は、獣医さんできれいにスケーリングしてもらいました。
ミイラのように痩せていた体は、だいぶふくよかになってきました。
なかなか歩かなかったお散歩も、今では大好きで、「早く行こう!」とおねだりするようになりました。
お尻の傷もほとんど治りました。
それに、保護した頃に比べて、なんだか若返ったように感じます。もしかしたら、最初の推定年齢よりも実は若いのかもしれません。

意思表示もするようになり、表情も豊かになって、犬らしくなったティペちゃん。
だけど、たくさんの犬がいて、いつも騒がしいアークは刺激が多すぎて、どうしても興奮をゼロにはできません。今でも自分の足を威嚇してパニックになる時があります。

夜、丸くなって眠っているティペちゃんを静かに撫でるとき、寝ぼけまなこでこちらを見つめかえしてきます。その、黒く潤んだ瞳の奥には、どんな辛い過去が刻み込まれているのでしょう。心の闇をいまだ抱えるティペちゃんが本来の自分を取り戻す為に必要なもの。それは、穏やかに暮らせる環境と、頼れる飼主さんです。
スタッフの一人が言いました。「ティペのお尻には魔物がいるんだね」って。
お尻の魔物を退治できるのは、里親さんだけだなんだよ、ティペちゃん。
★ 5月24日(日)は フィールドノート里親会 ★
詳細と参加するワンちゃんは → コチラ
FIELD NOTE フィールドノート
tel:0742-36-7227
奈良市四条大路2丁目2-77
営業時間 11:00-18:00
定休日 毎週月曜日
7月2日(木) 追記
ティペックスが安楽死になりました。
保護当初からあった問題行動(自傷行為)が悪化し、自分の臀部を傷つける行為がひどくなってきました。それだけではなく、他犬への攻撃性や、興奮時に発作を起こすようにもなりました。
できうるかぎりの改善策を試み、獣医さんにも相談しましたが、生活場所を変えても改善せず、他犬が散歩の時にも興奮し、他犬に対して、人が関わっていない時にも吠えかかる様子を多く見る様になりました。
「難しい子だけど、なんとかチャンスを…」との思いから里親さんを募集し、ブログにも掲載をしましたが、ティペちゃん自身のQOLが低下し、保つことができなくなったため、苦渋の決断をせざるを得なくなりました。
里親希望のお申し出は何度かあったものの、実る事はありませんでした。
残念なお知らせとなり、本当に申し訳ありません。
本当に、本当に、無念です。
| 犬 | 23:31 | comments:6 | trackbacks(-) | TOP↑
ティペちゃんの記事を読むたびに切なくて、涙が出てきましたが、追記を読んで涙がとまりませんでした。
天国ではおしりの魔物も消えて、楽しく過ごしているでしょうが、
次にこの地に降りで来るときは、暖かい家族と楽しく暮らして
くださいね。
| ボス&チェリーママ | 2009/07/15 13:14 | URL | ≫ EDIT