2008.06.22 Sun
ジローが失ったもの

子犬の頃にアークへ保護されもう7年。従順で人間が大好きなジローちゃんがどうして今までリホームできなかったのかというと、それは、「怖がりさん」だから。知らない人にも甘えられるのは犬舎の中だけ。お散歩も慣れたスタッフとじゃないと行けません。散歩中、ハイカーさんなどの知らない人と行き違うだけで、もう怖くて前へ進めなくなってしまいます。怖い対象なんて何もないときに急にへたり込んで歩かなくなることも。

ある日の夕方のこと、それは突然のことでした。ジローちゃんの目に異変が現れました。左目が目やにで塞がり、腫れていました。昼間はなんともなかったはずなのに。最初は目に異物が入ったか、傷か何かが原因で結膜炎になったんだろうと思いました。
診察の結果は、緑内障でした。

緑内障は、重症だと痛みも伴うそうで、元気がなく沈んだ様子のジローちゃんを見ているのはとても辛かったです。目を引っ掻くといけないのでエリザベスカラーは外せず、狭いケージの中で安静にする日々。どれくらい辛いのかとか、痛いのかとか、こちらは想像するよりほかなく、ただ見守ることしかできませんでした。

お薬を飲んで点眼を続けても、眼圧が一向に下がらないため、眼球を摘出することが検討されました。眼球を摘出をしてしまえば、原因が取り除けるので、点眼やお薬を飲み続けたり、通院を続ける必要もなくなります。
それでも、手術を終え、退院してきたじろーちゃんの顔を見たときは正直ショックでした。左目の周りの毛は刈られて、腫れた瞼は糸で閉じられていました。わかっていたことだけど、これから順調に回復するのか、ちゃんと生活していけるのか不安もよぎりました。でも、そんなのは取り越し苦労となりました。

犬ってすごいです。片目の視力を失うくらい、大したことないんですね。だって、ジローちゃんたら、両目が見えていた頃と変わらず、狭い林の中だって、猛ダッシュで駆け抜けていくんです。見ているこっちがハラハラしちゃう。特に不自由を感じているようには見えず、慣れてしまえばどうってことないみたいです。
今は残された右目が緑内障にならないよう、予防の為の目薬を続けているのみです。
最初の頃は嫌いだった目薬。目をぎゅっとつむって体を捩じらせて拒んでいました。今では名前をよべば目の前にお座りして大人しく点眼させてくれるようになりました。そのあと褒められたりおやつをもらえるのが嬉しいのかな?

緑内障だとわかって、眼球の摘出をする話が出た時は、ジローちゃんの一生に不安を感じ、予測のつかない未来に担当スタッフみんな落ち込んだけど、片目を失っても、ジローちゃんはジローちゃんのままでした。あいかわらず甘えん坊で、食いしん坊で、時々空気が読めなくて、時々ノワに怒られて、やっぱり外の世界が怖くって・・・。

私たちはこんなジローちゃんに里親さんを見つけ、幸せになって欲しいと思っています。
スタッフの一人が自宅や実家に度々連れて帰り、ARKしか知らなかった怖がりのジローちゃんの社会化訓練をしています。車にも慣れました。室内では排泄しません。甘えん坊さんで、ベッドの上が大好きで、おもちゃで遊ぶのが大好きなジローちゃん。怖がりさんなことを理解してもらえるなら、室内飼育向きの良きパートナーとなること間違いなしです!
| 犬 | 11:12 | comments:6 | trackbacks(-) | TOP↑
初めまして
初めてコメントします。アークの会員で毎日のぞいてます。本当にスタッフの皆様には頭がさがります。 我が家にも昔両目が白内障で見えなくなったワンコがいました。しかもその子供も大人になってから遺伝でしょうか、目が見えなくなりました。でも2匹とも目が見えないなんて感じさせない行動力がありましたし、周りのワンコ達も協力的でした。だからジローちゃんにも頑張って欲しいです。ジローちゃん頑張れ!!
| ピーコ | 2008/06/22 22:13 | URL | ≫ EDIT