今日はずっと里親募集をかけるまでトレーニングを積んでいたミニチュアプードルのお話です。
飼育担当がこの子と向き合い、記事を作ってくれました。

プードルの
トビー(♂ 13才)は、飼い主さんの元で幸せに暮らしていました。
しかし、アメリカ出身の飼い主さんの仕事の都合により帰国を余儀なくされ、一緒に連れて行く事が出来ないという理由で、トビーはアークへ入所する事になりました。 今年の3月の事でした。

トビーは甘えん坊で、引き取りの日も飼い主さんに抱かれている姿は、一見とてもフレンドリーな子に見えましたが、それは飼い主さんにしか見せない姿だということがすぐに分かりました。
スタッフが近づいただけで歯を見せ「こっちに来るな」と警戒し、敵意を剥き出しにしてきたのです。
彼の方から近寄って来たかと思えば、「体に触れるな」と歯を当てる素ぶりも。。

何見てんねんクラぁっ

…まずはトビーとの信頼関係を築くことを最優先にし、彼の好きな事を見つけることにしました。。
接していく内にトビーの好きな事はご飯よりも散歩だという事が判明。

そうそう、これでええねん

まともに体に触れなかった頃は、飼い主さんに予め装着してもらっていたハーネスとリードも付けっ放しの状態でお世話をしていました。
テリトリーを守る傾向もあるトビーに、犬舎の中でハーネスを着ける動作は警戒されるリスクが高まるためです。

余計なことしたら咬んだるでー

少しずつ私たちに対する警戒心も薄まり、散歩に行ける期待感から数日で私たちが部屋に入る事を喜んでくれるようになりました。
体の部位によっては触れる事も許してくれるようになり、お散歩の度に撫でる練習も徐々に受け入れてくれるようになりました。

でも余計なことしたら咬んだんでー

ついにハーネスの脱着や、抱っこまで出来るようになるまで関係を築く事が出来た頃、入所して2ヶ月が経過していました。
次なる課題は、彼の血液検査を行う事。
アークでは、入所した動物には必ず健康管理の為に血液検査を行なっています。
通常、攻撃性の無い子であれば入所後、数日の間に検査を行いますが、トビーのような性格の子の場合そうはいきません。
採血も飼育担当のスタッフが行うため、 これまで築いた信頼関係が崩れてしまうリスクが十分に考えられます。
しかし噛む子の場合、健康面の問題も十分に配慮してあげる必要があります。
触られるのが嫌で噛む子は体のどこかが痛むのかも知れない、気持ちが悪いのかもしれない、そういった可能性も含めて接してあげる必要があるからです。
健康面からくる攻撃性の可能性を除外する為にも採血を行うことを決めました。

えー決めんでえぇのにー

結果として、肝機能に問題がある事が分かり、お薬を始める事に。
日頃から特に気になる症状はありませんでしたが、トビーが体に違和感を感じているなら、少しでもそれが緩和される事を期待して。
この後、トビーが大人しく口輪を着けさせてくれる事を良い事に、私たちは薬の効果を確認する為に再び血液検査を行い、トリミングまで行ってしまった結果、築きかけていた彼からの信頼を徐々に失う事になりました。。
明らかにトビーの態度が変わり、ハーネスの脱着や、口輪の着用にも牙を剥いて抵抗するようになったのです。
こうなる事は想定出来たはずなのに、少し焦って事を進めてしまった事を後悔しました。。

いらん事ばっかするからや

それからはトビーを担当するスタッフを限定的に減らし、更にトレーニングの時間も設けるようにしました。

採血はもちろん、彼の嫌がりそうな事は一時的に一切中断し、信頼関係を築きやすい環境を作るところから再出発することにしました。
そして、少しずつ関係を取り戻しつつはありますが、今はまだその途中にいます。
こういった理由から、これまでトビーを里親募集の対象に出来ずにいました。
しかし、根気よくトビーと向き合えば、元の飼い主さんのように安全に一緒に暮らす事も可能だと思っています。
それは以前よりも彼と接する時間が増えたことで、本当は信頼出来る誰かにたっぷり甘えたい、そんなトビーの気持ちが日々感じられるようになったからです。
抱っこされると落ち着くらしく、猫のように人の膝の上でくつろぐのも好きなようです。

えーわーコレ

トレーニングの時間は積極的で(美味しいオヤツのお陰ですが。。)
期待感たっぷりにステキな笑顔で見つめてくれます


オヤツ早くおくれ


もちろんトビー以外にもアークにはお迎えを待っている子が沢山います。
ただ、13才になるまで温かい家庭しか知らなかったトビーにとって、アークでのひとりぼっちの生活は余りにも酷なものであることが改めて分かった今、寒い能勢の冬が来る前に新しい家族を見つけてあげたい、余生を穏やかな環境で過ごさせてあげたいと強く願うようになりました。
トビーと仲良くなるためには時間も根気も必要です。仲良くなれたと思ったら、振り出しに戻るような事もあるでしょう。
肝臓のお薬は今後も続ける必要があると思います。その上もう13才の老犬です。
今のトビーの全てをお伝えした上で、それでも彼に手を差し伸べ下さる方をお待ちしています。

オレ、待ってるから
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