2008.01.22 Tue
加古川レスキューレポート

ARKニュース&イベントで紹介していた加古川の犬猫達のその後を心配されている方も多いと思います。先日、私スタッフK.Kも遅ればせながら現地を訪れることができ、微力ながらお世話にあたらせていただきました。飼主さんは癌に体を蝕まれてご自身がお辛いだろう中、懸命に犬猫の世話を続け、私達にも大変明るく接し、労ってくださいました。
よくある、多頭飼育で手に負えなくなるケースと言えば、不妊手術をしていなくて鼠算式に増えてしまったとか、金儲け目当ての繁殖家で管理が行き届かなくなるとか、いわゆる“収集家”とか・・・。そのほとんどは、「ずさん」「利己主義」「無責任」といった言葉で要約できるケースです。

しかし、この加古川のケースは違います。
家の前に繋がれて捨てられていたなど、どの子も保護した子で、不妊手術や治療など、飼主さんのできうる限りのケアがきちんと行われています。私は、現地を訪れたスタッフから聞いた話や、飼主さんと直接会って、その深く強靭な動物への愛情に心が震え、感銘を受けました。そして、率直に、「なんとかしたい、力になりたい」と思いました。
こんな方が癌で苦しみ、この方だけが頼りな動物達が絶望の淵にあるなんて、神様どうしてですか?
そんな悲痛な気持ちでいっぱいです。

猫はほとんどの子が野良猫なみの警戒心の強さで、触ることすらままならず、捕獲や検査ができない子もいました。ほとんどの子はエイズでしたが、人懐こく健康状態もいい子もいました。

犬はどの子も飼主さんへの依存度が非常に高く、現地で1頭ずつアセスメントを行った際も、飼主さんや他の子と一緒に居るときは私達に友好的だったのに、単独にされることを極度に嫌がりパニックになる子も多数でした。
なんとか場所を確保し、アークに移送していますが、友好的だった子が攻撃性を示すようになり、現地へ戻さざるを得ない子もでてきました。 現地に戻すと、元の「いい子」に戻り、私達にも気を許してくれました。この子達にとっては、アークという環境は極度のストレス元でしかなく、飼主さんの元が安住の地であることを痛感させられました。

当初、飼主さんは、『若くて依存度の低い1頭だけを引き取って欲しい、この子なら里親さんが見つかるだろうから』とおっしゃっていました。それ以外の子は、高齢であること、極度の怖がりであることなどの理由から、自分の元で責任を持って安楽死をするとのことでした。残念なことですが、こういった子に里親さんが見つかるケースは非常に稀で、その現実をよくご存知でした。
なんとか1頭でも多くの子を助けたい、幸せにしたいという想いは誰も同じです。
では、何がその子にとっての幸せなのでしょうか?
もちろん、新たに安住の地をみつけることですが、「高齢」、「怖がり」、「攻撃性がある」といった子が里子に出るケースは非常に低く、ほとんどゼロなのが現実です。その場合、引き取った子はアークで生き続けることになる訳ですが、アークにはいつもたくさんの動物が溢れ、スタッフは日々の世話に追われているため、1頭1頭に理想的な環境とケアを十分施しているとは残念ながら言えないのが現状です。(これは、あくまで私個人の見解ですが・・・)
果たして、それは「助けた」ことになるのでしょうか?
「幸せ」といえるのでしょうか?

高齢の場合は特にそうですが、動物は環境の変化や飼主さんと離れ離れになった喪失感や不安など、過度のストレスから体調を崩しやすいものです。アークに引き取られ、大勢の中の1頭となり、苦痛やストレスを抱えてしまってから最期の時を迎えるのと、愛する飼主さんの腕に抱かれ心穏やかなまま眠るのとどちらが幸せなのでしょうか?
答えはひとつではなく、何が正しいとか間違っているとかいう問題でもありません。
私達アークスタッフの中にもそれぞれの考え方があり、飼主さんも悩んでおられます。
ただ、確実に言えることは、誰もが、彼らにとって最善の道を模索し行動しているということです。

現在,、飼主さんの体調やその他の複雑な事情等、デリケートな問題を抱えていることも考慮し、現地ボランティアの募集を中断しております。ですが、ご安心ください。飼主さんとは毎日連絡を取り合っており、アークスタッフ、または関係者ができるだけ現地を訪れサポートしています。
今後もできる限り報告していきたいと思っていますが、日々状況が変化し、飼主さん個人の事情も関係しているため、すべてを逐一公にできないことをどうかご理解の上、見守ってくださればありがたく存じます。
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